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2008年11月27日

冬に咲いた花 第四話

時計が正午を回る15分前に子供達は皆、班ごとの席に着かなくてはならない。

遅れて来ることは絶対にしてはいけない。

それはこのガルディーの中では揺ぎ無いルールだった。

例え病気だろうと友が別の施設に移送された明くる日だろうと遅れることは「決して」許されない



それをよく理解している子供達はこの日も、誰一人として遅れることなく正午15分前には食堂は

ぎゅうぎゅうとなった。


「今日は食事の前に一つみんなに尋ねたいことがあります。」

あの黒人の太った女施設官が威風のある声を張った。

ぎゅうぎゅう詰めの食堂を入った正面奥の中央にはゆとり多く場所を設けられている官員テーブル

があり、女施設官はその前に立ちながら尖鋭とした眼光で食堂の子供達を見渡していた。

食堂が張り詰めるようにしいんと静まり返った。


「黒熊だ。」


セッチがほんの僅かな小声を漏らしながらその柔和な顔付きを歪めた。

黒熊とは、その女施設官のあだ名だ。

まるで女とは思えない強力で丸太ん棒の様に太い体や黒い肌のがっちりとした腕からなのか、ヴェ

ネがガルディーに来た頃には、子供達の間で既にそう呼ばれていた。


「また、誰かやられたのかな・・・。」


セッチの言葉にパミラーノが畏縮した様子で体を縮み上がらせた。


「でも、ぼく達は関係ないぜ。何もやってないもんな。」

「だよなー。じゃあ、誰なんだろ。」

「おい、お前ら!」


こういう時に決まっておしゃべりになるセッチ達を戒めるようにビートが小さく荒く会話を遮断し

た。

そのすぐ後を続けるかの様に「黒熊」が言葉を発した。


「今朝、あなた達の敬愛すべき施設の人員がまだ目覚めていない様な時間、自分達の部屋を出た人

がいるみたいです。心当たりのある人は前に出て来なさい。」


食堂内の子供達がきょときょとと肩を騒がせながらそれぞれを見合わせた。

「誰だ。」「俺はやってないぞ。」と、ささめき合う声はするが、誰一人として名乗りを上げよう

とする者は出ない。

そうすると本当に身に覚えがない無いと言う子供達が今度はびくつきながら「黒熊」の顔色を窺い

始めた。

痺れる食堂内の空気を目の前に、悠然と構えるように表情を変えず「黒熊」が怒鳴り上げた。


「正直に名乗り上げないつもりですか!それなら連帯責任です!今日はこのまま昼食なしで業務に

入ってもらいますよ!」


その怒鳴り声に子供達は震駭し静まり返った。



疲れました。じゃあ次回ってことでー。

posted by 吉田道弘 at 16:49| Comment(0) | 「冬に咲いた花」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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