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2008年11月17日

冬に咲いた花 第一話

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空から降って来たものが頬に当たった。

初めは雨かと思った。

しかし、それは白く柔らかさを覚える固体だった。

雪だ。

空を見上げ今一度、認めなくてはと、何人が空を見上げたのかわからない。

春の街、フェルメイリーに冬が訪れたのだ。

それは街の人々にとっては欣喜雀躍となる程のことだった。

フェルメイリーにはほとんど冬が来ないのだ。



実に15年振りの冬。

つまりフェルメイリーに生まれ育った15歳以下の人達は一度たりとも、この街の冬を過ごした事がない。

人々はクリスマスの装飾や埃被った暖炉の掃除に揚揚と賑わった。




そしてフェルメイリーに突如吹いた冷たい風は、もう一つの思いを運んで来ていた。



フェルメイリーの神木と呼ばれている万年樹、バーバ。

バーバを見に遠路遥々観光に来る人間も珍しくない。

フェルメイリー自体は然程繁栄された街ではなく他に比べ人口も少ないくらいなのだが、それ程にバーバとは神々しく立派な大木なのだ。


そんなバーバの囲いとなるレンガの高台に隠れ、15年振りに訪れたフェルメイリーの冬のある日、ぽつんと寂しげな一輪の花が咲いた。

僅かばかりの日差しを浴びながら、人知れず咲いた。

それはまるで、フェルメイリーという街に冬が来るのをずっと待っていたかのように、雪の振る空の下、バーバの厳格さに覆われながら顔を出していた。



真っ白い静寂の花。



誰がその存在に気付くのだろう。

例え直向に見上げるその姿に目を配っても、それを気に留める人がいるのだろうか。

その10歩先の隣に神秘の骨頂とも言える大木が、卓越された生命力をありありと見せる中で。

愛犬の散歩道でもあるまいし、恐らく神木とも呼ばれる万年樹の前に、然う然うと野花に意を染める者もいないだろう。



つまり、その花は孤独の下に咲いたのだ。




えー、もう疲れちゃったので次回に続きます。

ではでは。
タグ:短編小説
posted by 吉田道弘 at 09:32| Comment(0) | 「冬に咲いた花」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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